背景
近年、公益法人のガバナンス強化や、働き方改革の推進が活発化している。
新公益法人制度の発足から10年、公益法人ではこれまでにガバナンス不全による複数の不祥事が発生。近年これによる社会的信用の低下や他公益法人への影響が問題視され、2019年12月には内閣府特命担当大臣の下「公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議」が開催された。
また、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下、「働き方改革関連法」)による改正後の労働基準法が、2019年4月から順次施行された。働き方改革関連法では、働き過ぎを防ぐことで労働者の健康を守り、多様な「ワーク・ライフ・バランス」を実現できるよう労働時間法制の見直しが盛り込まれた。この法制は一般企業だけでなく、公益法人でも同様である。
このような社会情勢の変化を受け、これまでの業務の進め方を見直すことが急務となっている。
課題
経費管理業務の運用ルールの統一、紙媒体での非効率な運用を廃止するためにシステム化が必要となった。
業務の見直しを行うにあたり、ガバナンスの強化、働き方改革の観点で、
経費管理業務における下記2点の課題の解消が必要となった。
- 1.運用ルールの統一
都道府県ごとに独自ルールでの運用を行っているケースが多数あり、規約に遵守できているか管理ができていなかった。このままではガバナンス不全による不祥事に結び付くリスクがあり、早急なルールの見直しが必要となった。 - 2.紙媒体での非効率な運用の廃止
大量の紙を使用していることで管理が煩雑、かつ郵送代や紙代が高額となっていた。また、職員が紙の精算書類を会計システムに入力しているため作業負荷が大きく、業務効率の面でも弊害が発生しており、ペーパーレス化による業務効率の改善、経費の削減が必要となった。
これら課題の解消のため、経費管理業務のシステム化が決定した。
取り組み
運用ルールの全国統一、および紙媒体での非効率な運用の廃止
本案件では、システム化の支援を行った。その中で、課題に対して下記図の取り組みを行った。
具体的な取り組みの流れとしては、下記図の流れに沿って支援を行った。
成果
ガバナンス不全による不祥事の発生リスクの解消、そしてよりよいワークライフバランスの実現に寄与した。
プロジェクトは無事完遂。システム化を行い、規約に基づいた運用ルールを全国で統一することで、危惧されていたガバナンス不全による不祥事の発生リスクを解消することができた。かつ、これまでよりも一層規約の遵守について意識を向ける土壌を作ることができた。 加えて、ペーパレス化や作業廃止を行ったことで書類の管理工数や入力作業といった生産性の低い業務が削減され、職員への負荷も減ったことで、労働時間の削減や、仕事に対するモチベーションなど、よりよいワークライフバランスの取れた環境の構築に寄与した。 これらの成果により、本来公益法人として果たさなければいけない、本質的な業務に専念することができる環境の構築に寄与した。