小売最大手企業 AIの提案による『フードロス』の解決

AI技術の導入による、店舗最適化および業務生産性の向上の支援を行う。

背景

可食食品を廃棄する問題(フードロス)が取りざたされる中、小売り最大手企業でもヒューマンエラーによる食料の廃棄が深刻。

世界の約9人に1人は飢餓に苦しんでおり、年々状況はひっ迫している。一方で先進国では、可食食品を廃棄するフードロスが大きな問題となっており、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」においては、食料の損失・廃棄の削減を目標に設定されている。(注1)日本においても同じくフードロスへの対策が求められているが、フードロスの主な原因に「売れ残り」があり、事業系フードロス全体のうち21%は小売業の廃棄量が占めているのが現状である。

小売業界の最大手企業においても、フードロスが深刻な状況にあり、発注ミス、売価ミスなど、ヒューマンエラーによるフードロスが多い状況であった。また、ミス防止にかかわる人件費も含め、二百数十億円ほどの膨大なコストがかかっていることから、これらのヒューマンエラーによる食料廃棄の防止が急務となっていた。

課題

ヒューマンエラーの発生を防ぎ、勘と経験に依存し属人化した店舗運営を改善すべく、AI技術を用いたDX化を推進する必要がある。

小売業界の最大手企業でヒューマンエラーが多数発生している原因として、店舗運営に関して勘と経験に頼った判断が行われている、ということがあげられる。またヒューマンエラーに対する対策についても統一指針が無く各店舗で属人化された対策が講じられ、効率的な対策になっていないという原因も考えられている。

そこで、小売業界の最大手企業では、中期経営計画において2030年までにグループ全体のDX推進を進めるという目標も考慮し、勘と経験に頼らず店舗運営を行い、かつヒューマンエラーに対して効果的な対策を講じる環境を構築するため、AI技術を用いたDX化による店舗最適化および業務生産性の向上を行うこととした。

取り組み

AI技術の導入に向け、プロジェクトの問題提起かつ解消に努め、円滑なプロジェクト遂行を支援する。

小売業界の最大手企業におけるAI技術の導入に対し、円滑なプロジェクト遂行のため以下の取り組みによりプロジェクトに関する問題提起とその解消に努めている。

  • 1.キーマンへの合意形成やマイルストンの策定等、プロジェクト計画の策定支援
  • 2.全タスク目標の確認やその結果の共有等の、意思統一支援
  • 3.情報管理の仕組み化や発言を促す環境構築等の、コミュニケーションの改善

成果

グループ全体でAI技術を用いたDX化を行い、過剰発注・欠品の削減することでフードロス問題改善に貢献する。

AI技術を用いたDX化を行うことで、勘と経験に頼った店舗運営から、AIによる根拠あるデータを用いた店舗運営へと改善される。その結果、過剰発注や欠品の削減が推進され、企業内のフードロス問題の解消に向け大きな一歩を踏み込むことができる。
また小売り最大手企業が先進的な取り組みを行うことで、業界全体に同様の取り組みが波及することが予想される。フードロスには小売業の廃棄量が大きく占めていることから、今回の取り組みは日本全体のフードロス問題の改善に大きく寄与する可能性を秘めているといえる。そしてフードロス問題が改善されれば、飢餓に苦しむ人々が少しでも減ることが期待される。

参考文献
(注1)農林水産省「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaishoku_shokubunka/attach/pdf/index-109.pdf

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