東芝デジタルソリューションズ株式会社:DXで新しい未来を始動させる

今回は、ビジョン・コンサルティング(以下、VC)がプライム案件で参画中の『東芝デジタルソリューションズ株式会社(以下、TDSL)』様で、第2回目の顧客インタビューを行いました。サプライチェーンの強靭化や高度化に向けて、DXへの取り組みを行う「新サービス:サプライチェーン・プラットフォームMeister SRM™ポータル」プロジェクトの取り組みについてお聞きしました。是非、最後まで御覧ください。

新サービス内容

新サービス「Meister SRMポータル」について

 

—広報部(以下、広):まず、新サービス「サプライチェーン・プラットフォームMeister SRM™ポータル」(以下、Meister SRM™ポータル)立ち上げの目的を、教えていただけますでしょうか。

 

TDSL、浅野氏(以下、浅):Meister SRM™ポータル立ち上げの目的は、ものづくり現場におけるサプライチェーン全体の強靭化と高度化です。そのために、サプライチェーンを構成する企業同士の繋がりの可視化、その上でのコミュニケーションの活性化、また事業活動をサポートする様々な提携サービスを利用できるオープンな場の提供を開始しました。そしてさらに、これらの活動によって蓄積されたデータを活用した、付加価値のあるサービスの提供を目指しています。

 

—広:Meister SRM™ポータル立ち上げの背景を教えていただけますでしょうか。

 

浅:立ち上げのきっかけは、2020年頃に東芝グループ内にて、生産活動で蓄積したデータを活用した新たなサービスを模索し始めたことです。そこで、TDSLでは、2008年から提供している戦略調達ソリューション「Meister SRM™」で培ったノウハウを活かし、ものづくりにおけるサプライチェーン全体に価値を提供できるMeister SRM™ポータルを立ち上げることになりました。

ちょうど同じ頃、社会的背景として、新型コロナウイルスや、米中貿易摩擦など、予測困難なビジネス環境の変化への対応や、サプライチェーン全体を通してのCO₂削減、責任あるサプライチェーンという言葉が出てくるようになり、企業にはCSR活動の強化が求められていました。そのため、これらの社会的背景にも対応できるサービスが求められていました。

 

写真:(左)VC「石原将一」氏(右)TDSL「浅野豊」氏

 

—広:Meister SRM™ポータルのサービス内容を教えていただけますでしょうか。

 

浅:サービス内容は多岐にわたりますが、3つご紹介します。

1つ目は、「サプライチェーンの形成と見える化」です。
企業が自ら参加し、各々のサプライヤーへ参加を促していくことで、これまで見えなかった2次以降のサプライヤーも含めて企業同士が繋がり合います。これにより、サプライチェーン全体の見える化を実現しています。
2つ目は、「サプライチェーンを横断するコミュニケーションの共通化」です。サプライチェーンの上流まで遡る各種調査・情報発信を効率化します。例えば、企業間のメッセージ交換により、スピーディーにサプライチェーン上の情報を把握できます。
3つ目は、「事業活動を支える様々なサービスの提供」です。これは、パートナー企業と共に取り組んでいます。例えば、CO₂排出量に関しては、企業ごとのCO₂排出量をパートナーが提供するサービスで算定し、そのデータをMeister SRM™ポータルに取り込むことで、サプライチェーン全体でCO₂排出量の見える化を実現します。
他のパートナー企業と連携して取り組むサービスとしては、自社の新しい技術を提供する相手を探したり、また提供してくれる相手を探す「ビジネスマッチングサービス」や、いつでもネット上で賠償責任保険の見積りから加入手続きまでが完結できることでサプライチェーン全体の賠償責任力を上げていく「ネット加入型総合賠償責任保険」等があげられます。これからも、順次提携サービスを増やしていく予定です。

サービスの詳細は、弊社HPをご覧ください。

https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/manufacturing-ict/meister-srm/srmportal.html

 

 

—広:Meister SRM™ポータルによって、実現できることを教えていただけますでしょうか。

 

浅:実現できることは、「企業間コミュニケーションの効率化」と「正確な情報の取得や開示」、「サプライチェーン全体でのリスク軽減」です。

Meister SRM™ポータルにより、サプライチェーン上のバイヤーとサプライヤーが同じ場で相互にコミュニケーションをとることができ、「企業間コミュニケーションの効率化」に貢献できます。また、同じ場で同じデータを共有することにより、企業ごとのデータ管理や担当者によるデータのばらつきを無くし、「正確な情報の取得や開示」を実現することができます。

さらに、サプライチェーン全体の可視化と解析により、地理的条件や取引関係の重複度からボトルネックとなるポイントを把握したり、災害時のサプライチェーンを横断した速やかな状況伝達等を行うことが可能となり、「サプライチェーン全体でのリスク軽減」にも繋がります。

 

—広:Meister SRM™ポータルは社会貢献にも繋がるサービスでしょうか。

 

浅:サプライチェーン全体でのCO₂排出量の可視化は、脱炭素、カーボンニュートラルに向けた取り組みであり、サステナビリティの向上に貢献すると思っています。

今後は、CO₂排出量のデータを利用して、脱炭素系の金融ソリューションに繋いでいくことも視野に入れています。銀行が脱炭素系の金融ソリューションを提案する際にも、排出量や対策の可視化が必要です。Meister SRM™ポータルでデータの可視化をすることで、スムーズに他のソリューションに繋げていきたいと思っています。

 

 

課題

新サービス「Meister SRM™ポータル」立ち上げへの課題

 

—広:VCに依頼する前の「Meister SRM™ポータル」の立ち上げまでの状況について、教えていただけますでしょうか。

 

浅:元々、前身のソリューションを含めて約20年前から調達業務改善に関するサービスを展開していました。最初は、東芝の生産管理システムから「調達」に関する機能を抜き出し、お客様にソリューションとして提供し始めました。その後、東芝グループ内で調達改革を行う動きがあり、「戦略調達ソリューションMeister SRM™」としてサービス内容をブラッシュアップしていきました。

「戦略調達ソリューションMeister SRM™」は、基幹システムに近く、個別に丁寧な対応が求められていたため、企業ごとの施策や顧客の要望を取り入れる形で提供していました。

日本を代表するような企業の調達業務に関わる取り組みをサポートしてきましたが、冒頭でお話したように、ものづくりを良くしていくには、調達目線だけでなく、サプライチェーン全体の強靭化と高度化が必須となります。そのためには、サプライヤーも一緒になって、サプライチェーン全体で取り組んで行く必要があると考え、Meister SRM™ポータルを立ち上げることになりました。

 

—広:VCへの支援依頼時の課題を教えていただけますでしょうか。

 

浅:当時の課題は、主に2つありました。

1つ目は、一緒に考えて動ける仲間が足りず、プロジェクトが進まないということでした。実は、戦略調達ソリューションMeister SRM™もお客様からご好評をいただいており、非常に好調でした。さらに、丁寧な個別対応をしていたため、既に人手が足りない状況に陥っておりました。このような中、東芝グループ内で新たにデータビジネスの取り組みについて話が上がっていましたが、新サービスに向けた検討の時間・労力を割くことのできるメンバーが足りていませんでした。

2つ目は、TDSL内だけでは、考え方が硬直してしまっている部分があり、新しい発想が不足していたことです。そのため、新しい視点やアイディア、外部と連携できるような進め方を必要としていました。

 

—広:VCに支援を依頼した背景を教えていただけますでしょうか。

 

浅:頭も手も足りない状況で、一緒に考えて立ち上げる仲間が欲しい、そして、社内だけでは生まれてこないような、新しい発想を取り入れたいという思いがありました。

そこで、VCの石原さんに戦略コンサルタントとして、支援していただきました。正直、大当たりで、依頼して本当に良かったと思っています。

 

—広:他ファームもある中、VCを選んだ理由を教えていただけますでしょうか。

 

浅:以前からTDSLと付き合いがあり、別の課でVCの戦略コンサルタントに参画していただいていましたが、VCさんは他ファームよりも我々のよき理解者になってくれると思ったためです。そのため、VCさんに依頼することで、VCさんの中でTDSLの文化や仕事の進め方、システムの使い方などを共有していただけるため、スムーズに検討フェーズに入ることが可能だと考えました。

 

 

取り組み

TDSLとVCの取り組み

 

—広:今日までにVCと共に取り組んだことを教えていただけますでしょうか。

 

浅:VCの石原さんには、2021年6月から支援していただいています。現在取り組んでいることも含めて、今日までに共に取り組んだことは、大きく3つあります。

1つ目は、サプライチェーンデータの活用を含め、サービス立ち上げに向けた企画検討です。ここでは、ユーザーへの価値創出からシステムの仕様決め、マネタイズプランや運用ルーティンの整理等、様々な検討が含まれています。
2つ目は、実際のサービス立ち上げ準備及び構築です。システム開発進捗のフォローや、パートナーとのアライアンス契約、社内の承認プロセス等々、泥臭い部分も含まれます。
3つ目は、リリース時やその後のプロモーション活動、ユーザーへの紹介対応です。東芝グループとしても注目しているサービスになりますので、ニュースリリース対応の他にも、かなりの数の取材を受けました。
また、石原さんだけでなく、VCの他メンバーにも参画していただき、サービス全体の向上に向けた検討を行っています。

 

—広:VCと一緒に取り組むことで実現できたことを、教えていただけますでしょうか。

 

浅:VCさんと一緒に取り組むことで、2022年10月に「Meister SRM™ポータル」のリリースが実現しました。これまでのTDSLでの取り組みには無かった、新しい発想や仕組みを切り拓きながら、共にサービスを立ち上げました。リリースの裏でいくつも新しいことに取り組んでいき、1つの大きな目標が実現しました。

 

—広:石原さんがTDSL様から期待されていたことを、教えていただけますでしょうか。

 

VC、石原氏(以下、石):浅野さんの一番近くで寄り添い、支援することです。浅野さんは、1つのソリューションだけでなく、複数のソリューションを回せる、さらに言うと、会社に貢献できる力があると思っています。ですので、浅野さんの本来あるべき力をあらゆるところで100%発揮してもらうために、本プロジェクトでは私がサブPMとして入ることが期待されていたと思います。そのため、浅野さんに寄り添って、支援することを意識しました。

 

—広:東芝デジタルソリューションズ様の期待に応えるために、石原さんが行ったことを教えていただけますでしょうか。

 

石:準備の最初の0→1の立ち上げ部分を私が行うことです。例えば、資料作成においても、まず最初の叩きを0の状態から私が準備するようにしていました。

 

浅:実際、石原さんに支援いただくようになってからは、私が0から資料を作成することは少なくなりました。石原さんに、「会議で使う○○の資料を、これこれこういう観点で、このくらいの粒度で、何ページくらいでお願いします。」と伝えると、すぐに資料の叩きを作成してくださいます。これは、頭の中でイメージが合っているからこそ、できることだと思います。

 

 

利点

VCに依頼して良かったこと

 

—広:VCに依頼して良かったことを教えていただけますでしょうか。

 

浅:本プロジェクトの推進を「自分事」として捉え、主体的に考えて取り組んでいただけていることです。VCは、TDSLの社員と変わらず、しっかりとプロジェクトに入り込み、外部の方とのやりとりや、上層部への説明等も行っていただいています。

本当に、「一緒に新しいサービスを作っていこう」という気持ちが強く、大変で面倒なことも避けることなく、取り組んでいただけています。

石原さんを含めたVCのメンバーが中心となって、プロジェクトを支援していただけており、とても力になっています。

 

石:私は、浅野さんをはじめ、東芝デジタルソリューションズの社員が、リスペクトできる存在だったからこそ、プロジェクトにしっかりと入り込むことができているのだと思います。そのような方々と共に仕事をさせていただけていることが、私のモチベーションに繋がっています。

 

—広:Meister SRM™ポータルのリリース後もVCに依頼を続ける理由を教えていただけますでしょうか。

 

浅:目指すべきゴールが先にあるからです。最初のリリースは通過点でしかないので、目指すべき姿に到達するまでVCさんに支援していただきたいと思っています。具体的には、まず、今回ご支援いただいている「Meister SRM™ポータル」のさらなるサービスの向上と、多くのユーザー様にご利用いただける状態になることを目指しています。そして、「データ活用サービス」の提供も目指していきます。これは、まだ世に出ておらず、今まさに、新しく作りあげていこうとしているところです。日々の業務から蓄積されるデータから価値を生み出し、それぞれの企業様にどのように有益なサービスとして還元できるか、引き続き検討していきたいと思っています。

 

—広:石原さんから見た本プロジェクトの魅力を、教えていただけますでしょうか。

 

石:魅力は複数あります。

1つ目は、世の中にないものを生み出せることです。サプライチェーンやESG、SDGs、DX等単語だけでバズっているものを、複数掛け合わせてシナジーを生み出せる点がとても魅力的です。

2つ目は、注目度が高いことです。本プロジェクトは、東芝グループ様の中でも、力を入れているプロジェクトです。注目度が高い分、難易度も高いですが、普段会話できないような人とも会話でき、とてもやりがいを感じています。

3つ目は、社会貢献にも繋がるプロジェクトであることです。社会貢献を題材にしているわけではありませんが、結果的にESGやSDGsなどの貢献に繋がっていることも魅力的です。

 

(写真:対談の際、VCからの参画メンバーの内2名も傍聴。)

 

今後の展望

DXでカーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーの実現へ

 

—広:今後の展望について、教えていただけますでしょうか。

 

浅:まずは、現在進めているユーザーを増やして多くの企業様に活用いただけるようにしていく活動や、パートナー企業との連携強化も含め、サービス自体を魅力的なものに育てていくことに注力してまいります。

その上で、データを活用した新しいサービス、他のプラットフォームとの連携等、新しいことへも取り組み、多くのユーザーに価値を還元していきたいと考えています。

 

—広:最終的にどの段階までサービスをエンハンスしていきたいと思っておられますでしょうか。

 

浅:サプライチェーンの対象とする業界の範囲拡大や海外展開など、サービスをさらに拡大・向上させていきたいと思っています。経済安全保障や人権侵害等の問題は、海外を含めてニーズが非常に高いため、海外展開は必須と考えています。

また、欧州での取り組みを含め、プラットフォームが乱立しつつある状況下で、プラットフォーム間の連携も大きなテーマだと考えています。

 

—広:今後本サービスで、どのように社会貢献していきたいか、教えていただけますでしょうか。

 

浅:「失われた30年」という言葉もあるように、日本のものづくりの成長の勢いが、昔ほどなくなっているのが現状です。この原因の一つとして、デジタル化の遅れがあげられます。ですので、日本の製造業のデジタル化を促進し、デジタルの力でものづくりを支えていきたいです。

また、直接的な社会貢献だけでなく、間接的に多くの企業や人に波及していくような社会貢献をしたいと思っています。Meister SRM™ポータルを通じて、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現を含めた強靭化と高度化に貢献し、東芝グループの目指す姿である、「人と、地球の、明日のために。」を実現していきたいと思っています。

 

—広:目指す姿の実現に向けて、今後のVCに期待することを教えていただけますでしょうか。

 

浅:新しいことへの取り組みは、障壁や課題も多く、とても大変だと感じています。そのような中で、前向きに自分事として取り組んでいただけている点に感謝しています。今後も、どんなに大変な中でも、楽しく、前向きに、一緒になって取り組んでいければと思っております。今後とも、是非ご協力のほど、よろしくお願い致します。

 

—広:最後に石原さんの今後の意気込みを教えていただけますでしょうか。

 

石:東芝グループ様とVCのシナジーを見つけていきたいです。

また、よりTDSL様に貢献できるよう、私自身、日々自己研鑽に励み、スキルアップをしていきたいです。そして、培った力をTDSL様に還元していきたいです。

 

(写真:左から、VC「林真珠」氏、VC「石原将一」氏、TDSL「浅野豊」氏、VC「久保実央」氏)

 

(※)「Meister SRM」は、東芝デジタルソリューションズ株式会社の登録商標または商標です。

(※)  その他、本文章に記載されている社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。

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