PMの力が、プロジェクトの成否を分ける理由 ― 計画・調整・決断すべてに関わる“船長”の重要性

レポート

プロジェクトの成否は、PMの力量で決まる

「プロジェクトマネージャー(PM)が頼りなくて、チームが混乱している」「PMが全体像を把握しておらず、指示が場当たり的だ」「問題が起きても、PMが決断できずに時間だけが過ぎていく」。プロジェクトの成功において、プロジェクトマネージャーのスキルとリーダーシップは決定的に重要な役割を果たします。

PMは、プロジェクトの目標達成に向けて計画を立て、チームを率い、ステークホルダーと調整し、リスクを管理する、いわばプロジェクトの「船長」です。しかし、そのPMのスキルやリーダーシップが不足していると、プロジェクトは容易に方向性を見失い、暗礁に乗り上げてしまいます。

本記事では、PMの力量不足がなぜプロジェクトの致命傷となるのか、その原因と影響を分析し、Vision Consultingが提供する、PMの育成と能力強化、およびPMOによる支援体制について解説します。

なぜPMは「名ばかり」になってしまうのか?

プロジェクトマネージャーのスキルやリーダーシップが不足する状況は、以下のような背景から生じます。

・任命基準の曖昧さ: プロジェクトマネジメントのスキルや経験ではなく、単に年次が高い、技術的に詳しい、あるいは担当業務の責任者であるといった理由でPMに任命されます。

・体系的な育成、研修の不足: プロジェクトマネジメントに関する知識(PMBOK®など)やスキル(計画策定、リスク管理、コミュニケーション、リーダーシップなど)を体系的に学ぶ機会や研修制度が不足しています。

・経験不足: 大規模プロジェクトや複雑なプロジェクトをマネジメントした経験が少ない、あるいは全くないままPMを任されます。

・PMの役割、責任範囲の不明確さ: PMにどこまでの権限と責任があるのかが組織内で明確に定義されていません。

・プレイングマネージャー状態: PM自身もプレイヤーとして多くの実務を抱えており、マネジメント業務に十分な時間とエネルギーを割くことができません。

・組織的なサポート体制の欠如: PMを支援するための専門部署(PMO: Project Management Office)がない、あるいはPMOが十分に機能していません。

・リーダーシップに対する誤解: リーダーシップを単なる指示命令と捉え、メンバーのモチベーション向上やチームビルディング、ビジョン共有といった側面が軽視されます。

・コミュニケーション能力の不足: チームメンバー、ステークホルダー、経営層など、多様な関係者と効果的にコミュニケーションを取り、合意形成を図る能力が不足しています。

・問題解決、意思決定能力の不足: 発生した問題に対して、冷静に状況を分析し、適切な解決策を導き出し、迅速に意思決定する能力が不足しています。

 

PM力量不足が引き起こすプロジェクトの惨状

PMのスキル・リーダーシップ不足は、プロジェクト全体に以下のような深刻な悪影響を及ぼします。

・計画の不備、実行の迷走: 現実的でない計画が立てられたり、計画通りに実行するための具体的な指示や管理が行われなかったりして、プロジェクトが迷走します。

・スコープ管理の失敗: 要求の変更や追加に対して適切な管理が行われず、スコープが際限なく拡大(スコープクリープ)したり、逆に必要な機能が漏れたりします。

・進捗、課題、リスク管理の形骸化: 進捗状況や課題、リスクが適切に把握・管理されず、問題の発見が遅れたり、対応が後手に回ったりします。

・チームの機能不全: メンバー間のコミュニケーション不足、役割分担の不明確さ、モチベーション低下などが起こり、チームとしての一体感や生産性が失われます。

・ステークホルダーとの関係悪化: 顧客や経営層、関連部署とのコミュニケーション不足や認識齟齬から、信頼関係が損なわれ、協力が得られなくなります。

・品質の低下: 品質管理活動が計画・実行されず、成果物の品質が低下します。

・コスト超過、納期遅延: 上記のような問題が積み重なり、最終的にコスト超過や納期遅延を招き、プロジェクトが失敗に終わります。

・組織全体のPM能力停滞: 失敗経験から学びが得られず、組織全体のプロジェクトマネジメント能力が向上しません。

 

Vision ConsultingによるPM強化とPMO支援

Vision Consultingは、プロジェクトを成功に導く強力なPMを育成・支援するために、以下の包括的なアプローチを提供します。

1. PMアセスメントと育成ロードマップ策定: PM個々のスキル(テクニカル、ヒューマン、コンセプチュアル)とコンピテンシーを客観的に評価し、強みと弱みを分析します。個々のレベルに合わせた育成ロードマップ(研修計画、OJT計画、キャリアパス)を策定します。

2. プロジェクトマネジメント研修: PMBOK®ガイドなどの知識体系に基づいた基礎知識から、計画策定、リスク管理、品質管理、コミュニケーション、リーダーシップ、アジャイル手法など、実践的なスキルを習得するための各種研修プログラムを提供します。

3. OJT、メンタリングによる実践力強化: 経験豊富なコンサルタントが、実際のプロジェクト運営を通じてPMを指導・支援(OJT)したり、定期的なメンタリングを行ったりすることで、実践的なスキルと問題解決能力を高めます。

4. PMコミュニティの形成、活性化: PM同士が知識や経験、悩みを共有し、相互に学び合うためのコミュニティ形成を支援します。

5. PMO(Project Management Office)の設立・強化:

 ・組織内PMプロセスの標準化: プロジェクトの立ち上げから終結までの一連のプロセス、利用するテンプレート、ツールなどを標準化し、組織全体のマネジメントレベルを底上げします。

 ・個別プロジェクトへの支援: PMOが、個別プロジェクトの計画レビュー、進捗モニタリング、課題・リスク管理のサポート、ステークホルダー調整支援などを提供します。

 ・プロジェクト情報の集約・分析: 組織全体のプロジェクト状況を可視化し、経営層へのレポーティングや、組織的な課題の特定・改善に繋げます。

6. リーダーシップ開発プログラム: 指示命令型ではなく、チームを巻き込み、メンバーの主体性を引き出すサーバント・リーダーシップや変革型リーダーシップなどのスタイルを習得するためのプログラムを提供します。

7. 適切な権限委譲とサポート体制: PMがリーダーシップを発揮し、責任を果たせるよう、組織として適切な権限を委譲するとともに、必要なサポート(リソース、情報、意思決定支援など)を提供します。

 

事例紹介/筆者経験

ある中堅企業では、事業拡大に伴いプロジェクト数が増加したものの、経験豊富なPMが不足し、多くのプロジェクトで遅延や品質問題が発生していました。

Vision Consultingは、まず既存PMのスキルアセスメントを実施し、特に計画策定、リスク管理、ステークホルダーコミュニケーションに課題が多いことを特定しました。これらのスキルを強化するための実践的な研修プログラムを開発・提供しました。

同時に、全社的なプロジェクト管理プロセスと標準テンプレートを整備するPMOを立ち上げ、各プロジェクトへの定期的なレビューとサポートを開始しました。また、経験豊富なPMが若手PMをメンタリングする制度も導入しました。

これらの取り組みの結果、プロジェクトの計画精度が向上し、リスクへの早期対応が可能になりました。ステークホルダーへの報告も改善され、プロジェクトの成功率が着実に向上しました。

PM個人の能力向上と、それを支える組織的な仕組み(PMO)の両輪が重要であることを示唆する事例です。

PMは変革をリードするキーパーソン

現代のプロジェクトは、単に決められたものを計画通りに作るだけでなく、ビジネス環境の変化に対応しながら、新しい価値を創造していくことが求められます。このような状況において、PMは単なる管理者ではなく、ビジョンを示し、チームを鼓舞し、変化を恐れずに挑戦をリードする「変革リーダー」としての役割がますます重要になっています。

優れたPMは、プロジェクトを成功に導くだけでなく、組織全体のイノベーションや成長を加速させるキーパーソンとなり得るのです。

企業は、PMの育成と能力開発を戦略的な投資と捉え、継続的に取り組む必要があります。

検討手順

PMのスキル・リーダーシップ不足を強化するために、企業が取るべき具体的なステップは以下の通りです。

1. PMの役割と必要スキルの定義: 自社におけるPMの役割、責任、権限、そして求められるスキルセット(知識、技術、人間性)を明確に定義します。

2. PM候補者の特定とアセスメント: 将来のPM候補者を特定し、現状のスキルレベルやポテンシャルを評価します。

3. 育成計画の策定: アセスメント結果に基づき、個々の候補者に合わせた育成計画(研修、OJT、メンタリングなど)を作成します。

4. 研修機会の提供: プロジェクトマネジメントの知識体系(PMBOK®など)や、計画、リスク、品質、コスト、コミュニケーション、リーダーシップなどの実践的スキルに関する研修を提供します。

5. 経験を積む機会の提供: 小規模プロジェクトのリーダーや、大規模プロジェクトのサブリーダーなど、段階的に責任ある役割を経験させます。

6. メンター制度の導入: 経験豊富なPMが、若手PMや候補者を指導・助言するメンター制度を導入します。

7. PMOの設置、活用: プロセス標準化、ツール提供、個別プロジェクト支援などを行うPMOを設置し、PMを組織的にサポートします。

8. PMコミュニティの運営: PM同士が情報交換や学び合いを行える場を提供します。

9. リーダーシップ開発への注力: チームビルディング、モチベーション向上、意思決定、変革推進などのリーダーシップ能力開発に注力します。

10. 評価とフィードバック: PMのパフォーマンスを定期的に評価し、フィードバックを通じてさらなる成長を促します。

 

おわりに

プロジェクトマネージャーの力量不足は、プロジェクトの失敗に直結する深刻な問題です。場当たり的な任命ではなく、計画的な育成と経験の機会提供、そしてPMOによる組織的なサポート体制を通じて、有能なPMを育て、その能力を最大限に引き出すことが不可欠です。

Vision Consultingは、PMアセスメントから育成プログラムの提供、PMO構築・強化支援まで、貴社のプロジェクトマネジメント能力向上をトータルでサポートします。「PMが育たない」「プロジェクトがうまく回らない」とお悩みの企業様は、ぜひVision Consultingにご相談ください。

強力なリーダーシップでプロジェクトを成功に導きましょう。

➨コンサルティングのご相談はこちらから

 


補足情報

関連サービス:プロジェクトマネジメント(PM)研修、PMO設立・運営支援、リーダーシップ開発プログラム、OJT・メンタリング支援、プロジェクトマネジメントコンサルティング

キーワード:プロジェクトマネージャー(PM)、スキル不足、リーダーシップ、プロジェクトマネジメント、PMBOK®、PMO(Project Management Office)、人材育成、研修、OJT、メンタリング、リーダーシップ開発、意思決定、問題解決

ビジョン・コンサルティングへの
採用や業務のご依頼はこちらから