導入後に“使われない”を防ぐ。現場定着型システム開発

レポート

IT投資のゴールは成果を得ること

企業が競争力を維持・強化するためにシステム開発への投資は不可欠ですが、残念ながら全てのプロジェクトが期待通りの成果を上げるわけではありません。

「多額の費用を投じたが、業務効率が改善されなかった」「新しいシステムを導入したが、現場で使われなかった」「納期遅延やコスト超過が常態化した」といった経験は、多くの企業にとって他人事ではないでしょう。

過去のシステム開発における失敗体験は、新たなIT投資への躊躇や組織内の不信感を生む原因ともなり得ます。

 

本記事では、システム開発が失敗に終わる要因を分析し、その教訓を活かして将来のプロジェクトを成功に導くためのポイントを、Vision Consultingの知見に基づき解説します。

 

なぜシステム開発は期待通りの成果を上げられないのか?

システム開発プロジェクトが失敗、あるいは期待以下の成果に終わる背景には、技術的な問題だけでなく、計画、実行、組織運営における様々な要因が複雑に絡み合っています。

不明確な目的・目標設定

システム開発を通じて「何を達成したいのか」というビジネス上の目的や、具体的なKPI(重要業績評価指標)が曖昧なままプロジェクトが開始されるケースです。これにより、開発の方向性が定まらず、成果の評価も困難になります。

不十分な要件定義

現場のニーズや業務プロセスへの理解が浅いまま要件定義が進められ、結果的に実態に合わないシステムが構築されてしまう問題です。前述の「システムと現場ニーズの不一致」に繋がります。

プロジェクトマネジメントの不備

スコープ管理、スケジュール管理、コスト管理、リスク管理などのプロジェクトマネジメントの基本が疎かになり、遅延、予算超過、品質低下を招くケースです。

コミュニケーション不足と認識齟齬

経営層、情報システム部門、業務部門、開発ベンダー間でのコミュニケーションが不足し、それぞれの期待値や認識にズレが生じたままプロジェクトが進行する問題です。

技術選定のミスマッチ

ビジネス要件や将来の拡張性を考慮せずに技術選定を行い、結果として運用・保守の負担増大や、陳腐化を招くケースです。

経営層のコミットメント不足

経営層がプロジェクトの重要性を十分に認識せず、必要なリソース配分や意思決定を行わない場合、プロジェクトは推進力を失います。

チェンジマネジメントの欠如

新しいシステム導入に伴う業務プロセスの変更や組織文化への影響を考慮せず、現場の抵抗や混乱を招き、システムの定着を妨げる問題です。

 

システム開発失敗がもたらす多大な損失

期待通りの成果を上げられないシステム開発は、単なる投資の無駄に留まらず、以下のような深刻な損失をもたらします。

Vision Consultingが提唱する「成果志向」のシステム開発プロセス

Vision Consultingは、過去の失敗から学び、確実に成果を上げるための「成果志向」のシステム開発プロセスを提唱・支援します。

事例紹介/筆者経験

ある小売業のクライアントは、過去にCRMシステム導入で大きな失敗を経験し、IT投資に慎重になっていました。

Vision Consultingは、まず失敗の原因を徹底的に分析し、経営層、IT部門、営業部門を巻き込んだワークショップで「顧客エンゲージメント向上」という共通のビジネス目標を設定しました。

その上で、スモールスタート可能なクラウド型CRMを選定し、アジャイル開発で段階的に機能を拡張かつ、定期的な効果測定と現場からのフィードバックループを確立した結果、システムは着実に定着し、顧客単価向上という具体的な成果に繋がりました。

 

失敗は成功の糧、学習する組織へ

システム開発における失敗は、避けられるならば避けるべきですが、万が一起こってしまった場合、それを単なる「損失」として終わらせるのではなく、「貴重な学びの機会」と捉えることが重要です。

失敗の原因を客観的に分析し、その教訓を組織全体で共有し、次のプロセスに活かす「学習する組織」となることが、持続的な成長の鍵となります。

 

検討手順

過去のシステム開発の失敗を繰り返さないために、企業が取るべき具体的なステップは以下の通りです。

1.過去のプロジェクトレビュー

失敗した(あるいは期待以下の成果だった)プロジェクトについて、客観的なレビューを実施し、成功・失敗要因を特定・文書化します。

2.原因の構造分析

特定された要因が、技術、プロセス、組織、コミュニケーションなど、どのレベルの問題に起因するのか構造的に分析します。

3.教訓の抽出と共有

分析結果から具体的な教訓を抽出し、組織内で共有します。失敗事例を共有しにくい文化がある場合は、その改善も必要です。

4.開発プロセスの見直し・標準化

教訓に基づき、システム開発の標準プロセス(企画、要件定義、設計、開発、テスト、導入、評価)を見直し、改善します。

5.プロジェクトマネジメント体制の強化

PMOの設置、プロジェクトマネージャーの育成、標準ツールの導入などを検討します。

6.意思決定プロセスの明確化

プロジェクトの承認、スコープ変更、リスク対応などに関する意思決定プロセスと責任者を明確にします。

7.外部知見の活用

必要に応じて、システム開発やプロジェクトマネジメントに関する外部の専門家やコンサルタントの知見を活用します。

 

おわりに

過去のシステム開発の失敗は、適切な分析と対策によって将来の成功への糧とすることができます。

Vision Consultingは、ビジネス目標起点の企画、徹底した超上流工程、共創型の要件定義、柔軟なプロジェクトマネジメント、そして継続的な改善サイクル確立の支援を通じて、貴社のシステム開発プロジェクトを「期待通りの成果」に導きます。

過去の経験に捉われず、次こそは成功させたいとお考えの企業様は、ぜひご相談ください。

 

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補足情報

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