成果を出すチームはここが違う!─エンゲージメント強化の決定打

レポート

プロジェクトの原動力はメンバーの情熱

プロジェクトの成功は、優れた計画や最新技術だけで達成できるものではありません。

その計画を実行し、技術を駆使するのは「人」であり、プロジェクトメンバー一人ひとりのモチベーション(意欲)とエンゲージメント(組織や仕事への愛着・貢献意欲)こそが、プロジェクトを推進する最も重要な原動力です。

しかし、「メンバーに覇気がない」「指示待ちで、主体的に動かない」「チーム内の雰囲気が悪い」「優秀な人材が次々と辞めていく」… こうした状況は、プロジェクトチームのモチベーションやエンゲージメントが低下している危険なサインです。

メンバーの意欲が低いチームは、生産性や品質が低下するだけでなく、創造性や問題解決能力も発揮されにくくなり、プロジェクトは停滞し、最悪の場合失敗に至るリスクが高まります。

本記事では、プロジェクトチームのモチベーション・エンゲージメント低下がなぜ起こるのか、その原因とプロジェクトへの悪影響を深く掘り下げます。

そして、Vision Consultingが提唱する、メンバーの内なる情熱を引き出し、チーム全体のエネルギーを高め、プロジェクトを成功に導くための具体的なアプローチについて解説します。

なぜメンバーの「やる気」は失われるのか?

プロジェクトチームのメンバーのモチベーションやエンゲージメントが低下する背景には、個人の問題だけでなく、プロジェクトの進め方や組織環境に起因する様々な要因が存在します。

・目標の不明確さ、魅力の欠如: プロジェクトの目的や目標が曖昧であったり、メンバーにとって魅力的でなかったり、自分たちの仕事がどのように貢献するのかが見えにくくなっています。

・役割、責任の曖昧さ: 自分が何をすべきか、どこまで責任を持つべきかが明確でなく、主体的に動きにくい状況です。

・裁量権、自己決定感の欠如: 仕事の進め方について自分で判断・決定できる範囲が狭く、「やらされている」感覚が強くなっています。

・過度な業務負荷、長時間労働: 無理なスケジュールや過剰なタスク量により、心身ともに疲弊し、意欲が削がれます。

・適切な評価、承認の不足: 自分の貢献が正当に評価されなかったり、努力や成果が認められなかったりすると、不満や無力感につながります。

・コミュニケーション不足、人間関係の問題: チーム内での情報共有が不足していたり、対立やハラスメントなど、人間関係に問題があったりすると、働きがいを感じにくくなります。

・成長機会、キャリアパスの欠如: 仕事を通じて新しいスキルを学んだり、将来のキャリアに繋がる経験を積んだりする機会が少ない状況です。

・リーダーシップの問題: プロジェクトマネージャーやリーダーが、メンバーの話を聞かなかったり、一方的な指示ばかりだったり、信頼できなかったりします。

・組織文化、風土: 失敗を許さない文化、挑戦を奨励しない雰囲気、風通しの悪い組織風土などが、メンバーの意欲を阻害します。

・変化への抵抗感、不安: プロジェクトによる変化(新しいツール、プロセス、組織体制など)に対して、不安を感じたり、変化を受け入れられなかったりします。

 

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モチベーション・エンゲージメント低下がもたらす負のスパイラル

チームメンバーのモチベーションやエンゲージメントの低下は、単に個人の問題に留まらず、プロジェクト全体に深刻な悪影響を及ぼし、負のスパイラルを生み出します。

・生産性の低下: 意欲の低いメンバーは、集中力や作業効率が低下し、アウトプットの量・質ともに落ち込みます。

・品質の低下: 注意力散漫や当事者意識の欠如から、ミスやエラーが増加し、成果物の品質が低下します。

・創造性、イノベーションの停滞: 新しいアイデアを出したり、改善提案をしたりする意欲が湧かず、現状維持に留まりがちになります。

・問題解決能力の低下: 困難な課題に直面した際に、粘り強く解決策を探求する意欲が低下し、問題が放置されたり、対応が遅れたりします。

・コミュニケーションの停滞、連携不足: チーム内での情報共有や協力が減少し、連携ミスや認識齟齬が発生しやすくなります。

・チームワークの悪化: 不満や無関心な態度が蔓延し、チーム全体の雰囲気が悪化し、対立が発生しやすくなります。

・離職率の増加: 仕事へのやりがいを感じられないメンバー、特に優秀な人材が、より魅力的な環境を求めて組織を離れてしまいます。

・プロジェクト遅延、失敗リスクの増大: 上記の要因が複合的に作用し、プロジェクトのスケジュール遅延や目標未達のリスクが高まります。

 

Vision Consulting流「エンゲージメント・ドリブン」チームビルディング

Vision Consultingは、メンバー一人ひとりの内発的動機付けを引き出し、チーム全体のエンゲージメントを高めることでプロジェクトを成功に導く、「エンゲージメント・ドリブン」なチームビルディングを推進します。

1. 魅力的なビジョンと目標の共有: プロジェクトが目指す姿(ビジョン)と、その達成に向けた明確な目標を設定し、メンバーに共有・共感を促します。自分たちの仕事の意義や貢献を実感できるようにします。

2. 明確な役割と期待の定義: 各メンバーの役割、責任、期待される成果を明確にし、自律的に業務に取り組めるようにします。

3. 適切な権限委譲と裁量権の付与: メンバーのスキルや経験に応じて、仕事の進め方に関する裁量権を与え、自己決定感を高めます。

4. 挑戦と成長機会の提供: メンバーの能力を少し上回るような挑戦的なタスクを与えたり、新しいスキルを習得できる機会(研修、OJTなど)を提供したりして、成長を支援します。

5. 頻繁かつ具体的なフィードバックと承認: メンバーの貢献や努力を具体的に認め、タイムリーにフィードバック(ポジティブな点、改善点)を行います。成果だけでなくプロセスも評価します。

6. 心理的安全性の確保: メンバーが安心して意見を述べたり、質問したり、失敗を恐れずに挑戦したりできる、オープンで信頼に基づいたチーム環境(心理的安全性)を醸成します。

7. 効果的なコミュニケーション: 定期的なチームミーティング、1on1ミーティング、チャットツールなどを活用し、双方向のコミュニケーションを活性化します。

8. 良好な人間関係の構築: チームビルディング活動や懇親会などを通じて、メンバー間の相互理解と信頼関係を深めます。

9. ワークライフバランスへの配慮: 過度な長時間労働を是正し、柔軟な働き方を支援するなど、メンバーが心身ともに健康でいられるように配慮します。

10. サーバントリーダーシップの実践: プロジェクトマネージャーやリーダーは、メンバーを支援し、彼らが能力を発揮できるように奉仕する姿勢(サーバントリーダーシップ)でチームを導きます。

 

モチベーション・エンゲージメント低下がもたらす負のスパイラル

事例紹介/筆者経験

あるスタートアップ企業の新規事業開発プロジェクトにおいて、当初、タイトなスケジュールと不明確な要求から、メンバーは疲弊し、モチベーションが低下していました。

Vision Consultingは、まずプロジェクトのビジョンと短期的な目標をチームで再定義し、各メンバーの役割と期待成果を明確化しました。

次に、週次の振り返り(レトロスペクティブ)と、成果に対する称賛・承認の機会を設けました。

また、PMがメンバー一人ひとりと定期的に1on1ミーティングを行い、個々の悩みやキャリアへの想いに耳を傾け、成長を支援する姿勢を示しました。

さらに、チームで達成した小さな成功を祝う場を設けるなど、ポジティブな雰囲気づくりを心がけました。

これらの取り組みにより、チーム内の心理的安全性が高まり、メンバーは主体的に課題解決に取り組むようになり、プロジェクトは活気を取り戻しました。

結果、困難な状況を乗り越え、新規事業のローンチに成功しました。

メンバーの「心」に働きかけることの重要性を実感した事例です。

個のエンパワーメントと自律分散型チームへ

働き方や価値観が多様化する現代において、画一的なマネジメントでメンバーのモチベーションを高めることは困難になっています。

今後は、メンバー一人ひとりの個性や強みを理解し、それぞれの内発的動機付け(興味、関心、成長欲求など)に働きかける「個のエンパワーメント」がより重要になります。

また、トップダウンの指示命令系統だけでなく、メンバーが自律的に判断し、相互に連携しながら目標達成を目指す「自律分散型」のチーム運営モデルも注目されています。

このようなチームでは、高いモチベーションとエンゲージメントが維持されやすく、変化への適応力も高まります。

PMには、メンバーの才能を開花させ、自律的なチームを育む「コーチ」や「ファシリテーター」としての役割が、ますます求められるようになるでしょう。

検討手順

チームのモチベーションとエンゲージメントを高めるための具体的なステップは以下の通りです。

1. 現状把握: チームメンバーのモチベーションやエンゲージメントの状態を、アンケートやヒアリングなどを通じて把握します。

2. 課題特定: モチベーション・エンゲージメント低下の原因となっている要因を特定します。

3. 目標設定: チームとしてどのような状態を目指すのか、具体的な目標を設定します。

4. 施策検討: 特定された課題と目標に基づき、具体的な施策(目標共有、役割明確化、フィードバック強化、コミュニケーション改善など)を検討します。

5. 計画策定: 施策を実行するための具体的な計画(担当者、期限、方法など)を立てます。

6. 施策実行: 計画に基づいて施策を実行します。リーダー自身が率先して行動することが重要です。

7. 効果測定: 施策の効果を定期的に測定・評価します(例:アンケート再実施、生産性指標の変化など)。

8. フィードバックと改善: メンバーからのフィードバックを得ながら、施策の内容や進め方を継続的に改善します。

9. リーダー自身の意識改革: リーダー自身が、メンバーのモチベーション・エンゲージメント向上の重要性を理解し、自身の行動を見直します。

 
「エンゲージメント・ドリブン」チームビルディング

おわりに

プロジェクトチームのモチベーションとエンゲージメントは、プロジェクトの成否を左右する隠れた、しかし決定的な要因です。

「やらされ感」が蔓延するチームでは、最高のパフォーマンスは発揮できません。

メンバー一人ひとりがプロジェクトの目標に共感し、自身の成長を感じ、仲間と協力し合うことに喜びを見出せるような環境を創り出すことが、プロジェクトマネージャーとリーダーの重要な責務です。

Vision Consultingは、チーム診断から、エンゲージメント向上施策の立案・実行、リーダーシップ開発まで、貴社のチームが活力を取り戻し、持てる力を最大限に発揮するための支援を提供します。

「チームに元気がない」「メンバーの主体性を引き出したい」「エンゲージメントの高い組織を作りたい」とお考えの場合は、ぜひVision Consultingにご相談ください。

メンバーの情熱に火を灯し、プロジェクトを成功へと力強く推進するチーム作りを実現します。

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補足情報

関連サービス:組織・チーム診断、エンゲージメント向上コンサルティング、リーダーシップ開発、チームビルディング研修、人事制度コンサルティング、心理的安全性向上支援

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