運用属人化・コスト膨張──複雑化したITインフラの整理術

レポート

IT活用が進むほど起こりうる問題

企業のIT活用が深化するにつれて、サーバー、ネットワーク、ストレージ、OS、ミドルウェアといったITインフラストラクチャは、その規模と複雑性を増しています。しかし、部門ごとの個別導入、過去からの経緯による多様な技術の混在、M&Aによるインフラ重複などにより、社内のITインフラが統一されず、標準化されていない状況に多くの企業が直面しています。

このような「非統一インフラ」は、運用管理の複雑化、コスト増加、セキュリティリスクの増大、そしてDX推進の足かせとなる深刻な問題を引き起こします。

「インフラ構成が把握できない」、「運用手順がバラバラで効率が悪い」「新しい技術を導入したいが、既存インフラとの整合性が取れない」といった悩みは、IT部門にとって大きな負担です。

 

本記事では、ITインフラが非統一になる原因とその弊害を分析し、インフラの標準化・統合による最適化アプローチについて、Vision Consultingの視点から解説します。

 

なぜITインフラは複雑化するのか?

社内のITインフラが統一されず、複雑化してしまう背景には、以下のような要因が挙げられます。

部門・拠点ごとの個別最適

各部門や拠点が、それぞれのニーズに基づいて独自にサーバーやネットワーク機器、ソフトウェアを導入してきた結果、異なるメーカーの機器やバージョンのOS、ミドルウェアが混在します。

過去の技術の蓄積(技術的負債)

長年の運用の中で、古い技術基盤の上に新しい技術が継ぎ足され、全体として複雑で整合性の取れない構成になっています。

M&Aによるインフラ重複・非互換

合併や買収によって、異なるポリシーや技術標準で構築された複数のITインフラが統合されないまま併存します。

明確なインフラ標準・ガイドラインの欠如

全社的なITインフラの標準構成や導入・運用に関するガイドラインが定められていない、あるいは遵守されていません。

場当たり的な増設・改修

急なシステム増強やトラブル対応などで、場当たり的に機器が増設されたり、構成が変更されたりすることで、管理が煩雑になります。

クラウド導入によるハイブリッド化の複雑性

オンプレミス環境と複数のクラウドサービス(マルチクラウド)が混在するハイブリッド環境において、統一的な管理ポリシーやツールがないまま運用され、複雑性が増します。

属人化された運用ノウハウ

特定の担当者しか分からないインフラ構成や運用手順が存在し、標準化やドキュメント化が進みません。

 

ITインフラ非統一がもたらす弊害

ITインフラが統一されておらず、複雑化している状況は、企業に以下のような具体的な弊害をもたらします。

標準化・統合・最適化の実行プロセス

Vision Consultingは、ITインフラの非統一・複雑化という課題に対し、現状分析から将来構想、具体的な標準化・統合計画の策定・実行まで、包括的な最適化支援を提供します。

事例紹介/筆者経験

ある多拠点展開する企業では、各拠点が独自にサーバーやネットワークを導入・運用しており、IT部門による全体管理が困難で、運用コストも高止まりしていました。

Vision Consultingは、まず全拠点のITインフラ構成を調査・可視化し、サーバーOSやネットワーク機器の標準モデルを定義しました。その上で、各拠点の物理サーバーをデータセンターに集約・仮想化し、拠点間ネットワークをSD-WANで再構築する計画を策定・実行しました。また、CMDBを導入し、構成情報を一元管理できるようにしました。

これにより、大幅な運用コスト削減と管理効率向上、さらにセキュリティガバナンスの強化を実現しました。

 

標準化・統合は「守り」から「攻め」のIT基盤へ

ITインフラの標準化・統合は、単に運用管理の効率化やコスト削減といった「守り」の側面だけでなく、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応できるアジリティの高いIT基盤を構築し、DX推進や新しい技術活用といった「攻め」のIT戦略を支えるための重要な取り組みです。

標準化され、最適化されたインフラは、企業の持続的な成長を支える競争力の源泉となります。

 

検討手順

ITインフラの非統一・複雑化に課題を感じている企業が取るべき具体的なステップは以下の通りです。

おわりに

ITインフラの非統一と複雑化は、運用コストの増大、効率の低下、セキュリティリスクの増大など、多くの問題を引き起こします。

Vision Consultingは、現状アセスメントから標準化方針策定、具体的な統合・最適化計画の実行、そして運用プロセスの改善まで、貴社のITインフラを全体最適化するための包括的な支援を提供します。

「インフラ管理が煩雑でコストも高い」「DXを進めたいがインフラが足かせになっている」とお考えの企業様は、ぜひVision Consultingにご相談ください。

 

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補足情報

関連サービス:ITインフラアセスメント、ITインフラ標準化・統合コンサルティング、サーバー仮想化・集約支援、ネットワーク最適化支援(SD-WAN導入など)、クラウド導入・移行支援、IT運用管理(ITSM)プロセス改善、Infrastructure as Code(IaC)導入支援

キーワード:ITインフラ、標準化、統合、最適化、仮想化、サーバー集約、ネットワーク標準化、SD-WAN、ストレージ統合、クラウド、ハイブリッドクラウド、マルチクラウド、構成管理(CMDB)、Infrastructure as Code(IaC)、技術的負債、IT運用管理

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