AI-DLC · Vol.23

AIエージェントで開発をうまく進めるには?

チームで使いこなす3つの押さえ所

updated 2026.10.06
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生成AI活用
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五月女 裕太 ビジョン・コンサルティング
AI Center of Excellence 所属
AI コンサルタント

生成AIコンペ2年連続最優秀賞(日経・日刊工業新聞ほか掲載)/AWS Summit 2025事例ブース登壇/AWS主催生成AIセミナー2025 2度登壇など、業界トップを走るAIエキスパート。

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AIエージェントをチームで使いこなすには、完成の基準と社内ルールを、AIが読む指示と、動作を確かめるテストに反映します。AI-DLCは、AIの提案を人が確認し、その判断を次の開発へ引き継ぐ進め方です。

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AIを導入した。次は、開発をどう変える?

Claude CodeやCodexなどのAIエージェントを使い始めたものの、出来上がるものが期待と違う。担当者によって品質が変わる。詳しい人だけが使い、チームに広がらない。これから導入する場合も、ツールを入れた後の進め方を前もって考えるのに役立ちます。

  • 思い通りに動かない
  • 品質が安定しない
  • 個人の使い方で止まる
01

導入したのに、開発がうまく進まない理由

AIを使う人が増えても、期待する成果とその確認方法が共有されていなければ、チームで目指す品質が定まりません。

AIから「できました」と返ってきても、動かすと期待と違うことがあります。ある担当者が頼むとうまくいくのに、別の人では修正が続きます。こうしたときは、依頼文だけでなく、仕事の前提が人によって違っていないかも確かめます。

例えば、業務を知る人は「いつもの例外も扱えるはず」と考えています。開発する人は「画面が動けば完成」と考えているかもしれません。前提が違うままAIに頼むと、使い始めてから例外への対応が足りないと分かります。

Stack Overflowは2025年、世界の開発者にAIエージェントの効果を尋ねました。自分の生産性が上がったと感じた人と、チームの連携が良くなったと感じた人の割合には差がありました。

個人の生産性向上と、チーム連携の改善には差がある|2025年調査 図1
AIエージェントの効果強く・やや同意
自分の生産性が向上69
チーム内の連携が改善17
「強く同意」「やや同意」の合計を整数に丸めた値です。生産性は12,755人、チーム連携は12,441人が回答しています。回答者の実感であり、開発者全体の割合や作業速度の実測ではありません。出典:Stack Overflow Developer Survey 2025。

この調査は、個人の生産性を上げることと、チームの進め方を整えることを分けて考える材料になります。

困りごとに応じて、チームで共有すること 図2
期待と違うものができる 誰のどの仕事を良くするか、何ができれば完成かを決めます。
担当者によって品質が変わる 守る条件と、実際の操作で確かめる項目を決めます。
詳しい人だけが使う うまく使えている人の知識と、判断の理由を共有します。
AIの使い方を身につける人を増やすだけでなく、完成の基準、判断に必要な社内知識、判断の理由をチームで共有します。

起動や接続ができない場合は、エラーや設定を調べます。作業は進むのに期待と違う場合は、モデルを替える前に、チームで共有できていない前提を確かめます。

チーム共通の完成基準があれば、担当者が替わっても成果物を同じ観点で確かめられます。

02

AI-DLCで、個人の工夫をチームの進め方にする

AI-DLCは、何を作るかを決める段階から開発・確認・運用まで、AIが作業を進め、人が判断する開発方法です。

正式名称はAI-Driven Development Life Cycle(AI駆動開発ライフサイクル)で、AWSが提唱しています。AIが計画や質問を出し、人が提案を確認して重要な判断を行います。

Claude CodeやCodexなどのAIエージェントは、作業を進める道具です。AI-DLCは、人とその道具を組み合わせる開発の進め方です。誰が何を決め、結果をどう確かめるかまで、チームで考えます。

AWSはAI-DLCを「開始」「構築」「運用」の段階で説明しています。開始では目的や条件を整理し、構築では設計・作成・テストを進めます。運用では利用環境へ届け、維持します。決めた内容と確認結果は記録し、次の作業で使います。

例えば、使う人が困りごとを伝え、AIが機能と作業の案を出します。業務を知る人はその案が必要かを判断します。技術を知る人は作り方と確認方法を確かめます。決まった条件を記録すれば、次の担当者やAIもそれを使えます。

米国の医療IT企業ConnectiveRxは、AI-DLCを導入し、作業の工数が減ったと報告しています。AmazonのAI開発環境Kiroを使い、AWSの支援を受けた事例です。

AI-DLCを取り入れた米国企業の工数削減例|2026年9月20日公開 図3
68〜87% 用途ごとに報告された工数の削減率 ConnectiveRx/AWS
約24時間 導入前は約180時間だった作業の工数 ConnectiveRx/AWS
AWSとConnectiveRxの担当者が連名で公開した事例です。KiroとAWSの導入支援を含み、AI-DLCだけの効果を測ったものではありません。用途の数や計測方法は、公開元の記事に示されていません。

報告された作業例の一つでは、工数が約180時間から約24時間へ、約7分の1に減りました。プロジェクト全体の期間短縮を示す値ではありません。自社で試すなら、作成・確認・修正までを一つの仕事として、導入前後の工数を比べます。

自社で取り入れるときは、AIの提案を誰がどの観点で確認するかも決めておきます。

03

チームで使いこなす、3つの押さえ所

押さえ所は、完成の基準、AIに渡す社内知識、判断の引き継ぎです。

申請画面の開発に、3つの押さえ所を当てはめる 図4
完成の基準 入力漏れに気づき、修正して送信できるようにします。
AIに渡す社内知識 申請時点で未確定の項目と、後から補う手順を伝えます。
判断の引き継ぎ その項目を必須にしなかった理由を残し、次の指示とテストに反映します。
申請時点で分かる情報に合わせて画面を設計します。決めた条件と理由は、次の修正でAIが読む指示とテストに反映します。

入力欄を必須にするかどうかは、画面の作り方だけでは決まりません。申請時点でその情報が分かるかという業務の条件が、仕様とテストを変えます。

Claude Codeの公式資料も、テストや期待する出力など、AIが結果を確かめられる基準を渡すことを勧めています。AIによるテストに加え、使う人が実際に操作し、仕事に合うかを確かめる場面も用意します。

AIに渡す社内知識は、資料の量より、どの判断に使うかで整理します。申請時点で分からない項目があるなら、後から誰が補うかも伝えます。

私は、社内資料をAIの作業場面に合わせて整理します。どの場面で使うルールかを明らかにすると、成果物に反映されたかを確かめやすくなるためです。

人が判断する場面も先に決めます。作る範囲を選ぶとき、設計を採用するとき、利用を始めるときには、業務と技術の両面から確認します。本番への反映やデータの削除は、承認を経なければ実行できないよう、権限と手順を決めておきます。AIへの指示に注意を書くだけでなく、AIが実行できる操作そのものを制限します。

私は、成果物に加え、作業中のやり取りと判断の履歴も後から見られる形で残します。例えば「入力漏れに気づけるよう、この表示を残した」と理由が分かれば、次の修正でもその条件を守れます。

決めた条件は、次の作業でもAIが読む共通の指示と、動作を確かめるテストに反映します。例えば「入力済みの内容を消さない」と決めたら、その条件を指示に書き、入力エラー後も内容が残るかをテストします。担当者が替わっても、同じ条件で確認できるようにします。

04

自社に合う進め方は、使いながら作り込む

AI-DLCの考え方は共通でも、必要な知識のまとめ方、確認する人の役割、AIに任せる範囲は会社ごとに調整します。

開発に「自社らしさ」を反映するとは、仕事で重視することを仕様と確認方法に落とし込むことです。例えば、入力をやり直す負担を減らしたいなら、エラー後も入力内容を残します。例外が起きたときの確認先も決めます。

AWSの金融機関向け解説も、規程やセキュリティ要件をAIが使えるルールや開発手順へ反映する方法を示しています。資料を渡すだけでなく、どの場面で何を守るかまで具体化します。

私は、最初の聞き取りで必要な情報を一度に聞き出そうとはしません。使う人に小さな成果物を見てもらい、案を見ながら期待との違いを話してもらいます。その反応から、普段は言葉にしていない条件を補います。

成果物が期待と違ったら、どこが合わず、なぜそうなったかを確認します。判断待ちで止まったなら役割の分担を、不具合が出たなら実装やテストを見直します。原因に合わせて、必要な部分を直します。

AWSの適応型AI-DLCワークフローも、開発の複雑さに応じて、使う工程と検討の深さを変えます。小さな変更も、複数のシステムが関わる開発も、同じ工程や検討の深さで進める必要はありません。

使い始めた後は、品質や効率の変化を実際の仕事で確かめていきます。プログラムの作成にかかった時間だけでなく、確認ややり直しの負担、利用者の手間がどう変わったかも見ます。

完成の基準が合わない、社内知識の渡し方が決まらない。専門家の支援が役立つ場面です。相談先を選ぶときは、指示文の代筆だけでなく、業務の聞き取りから設計・確認・改善まで支援するかを見ます。自社で続けられる形に残すことも確認します。

自社でどこから整えるか迷っている場合は、無料相談で、導入済み、または検討中のツールと、今困っている仕事をお聞かせください。

小さく試すと、自社のルールで足りない点や、判断の分担の曖昧さが見えてきます。見つかった点を直し、次の仕事で確かめます。

05

最初は、一つの仕事を完成までつなげる

まずは、欲しい結果になったかを確かめやすい仕事を一つ選び、条件を決めるところから、作って実際に使うところまでを一通り試します。

導入済みなら、修正や確認待ちが続いている小さな変更を選びます。これから導入するなら、影響を限定して試せる仕事を選びます。使う人と開発する人が同じ成果物を見て、どこで期待がずれたかを話せる範囲から始めます。

小さく試し、使った人の反応を次の改善に生かす 図5
  1. 人とAI 完成の基準を合わせる 減らしたい手間、必要な動作、守る条件を話し合います。
  2. AIの提案・人の判断 小さく作って確かめる 案と成果物を見て、仕事に合わない点を直します。
  3. 業務・技術の確認 利用前に品質を確認する 実際の操作、必要な品質、困ったときの対応を確かめます。
  4. チームで共有 結果と理由を次の変更に引き継ぐ 利用者の反応と判断の理由を、次の指示とテストに反映します。
試作で仕事に合うかを確かめ、利用前には必要な品質を確認します。使った人の反応と判断の理由を、次の指示とテストに反映します。

申請画面なら、送信前に入力漏れを知らせるか、エラー後も入力内容が残るかを確かめます。使う人が「この項目は申請時点では分からない」と気づいたら、画面だけでなく、情報を後から補う手順も見直します。決まった変更は、AIが次に読む指示と確認用のテストに残します。

ここまで進めると、AIにどの情報を渡すか、誰の判断が必要か、自社の仕事に合わせてどこを直すかが見えてきます。細かな準備や実践手順は、知りたいことに応じて次の記事を参照してください。

AI駆動開発とは?仕組みと従来の開発との違いをやさしく解説:AIを使う開発の全体像から知りたいときに。

AI-DLCとは?AIと人で進める開発を図解:AI-DLCの意味と、人・AIの役割を詳しく知りたいときに。

AI-DLCで業務改善はどう進む?全体の流れを解説:日々の困りごとを、使える仕組みへ変える流れを知りたいときに。

AI-DLCの進め方・実践手順とは?:準備から開発・運用までの具体的な進め方を知りたいときに。

小さな仕事で決めた条件と判断の理由を共通の指示とテストに残せば、次の担当者も改善を引き継げます。

06

よくある質問

AI-DLCを使うには、今のAIツールを替える必要がありますか?Q1

すぐに替える必要はありません。まず、AIへの情報の渡し方、人が判断する場面、結果の確かめ方を見直します。そのうえで、今のツールで実行できる範囲を確かめ、足りない機能があれば追加や変更を検討します。

社内資料をたくさん渡せば、自社に合う開発ができますか?Q2

資料の量より、AIがどの判断にどの知識を使うかが大切です。守る条件や例外を具体的に書き、実際の成果物に反映されたかを確かめます。資料に書かれていない条件は、使った人の反応から補うこともあります。

専門家に相談するなら、何を整理しておけばよいですか?Q3

導入済み、または検討中のツールと、改善したい仕事を伝えると、相談を始めやすくなります。すでに使っている場合は、期待と実際の結果がどう違ったかも伝えます。今どの判断や確認で困っているかが、相談の手がかりになります。

07

出典と調査方法

AI-DLCの進め方、開発者調査、公開された導入事例の根拠として参照した資料です。資料確認:2026年10月2日。

  1. AWS:AI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)の基本 — AWSはAI-DLCをAI-Driven Development Life Cycleと呼び、AIが計画や実行を進め、人が重要な判断と確認を行う開発方法として説明している。
  2. AWS:開発の複雑さに応じたAI-DLCワークフロー — AWSは、開発の複雑さに合わせて、使う工程と検討の深さを調整するAI-DLCのワークフローを説明している。
  3. Claude Code:開発を進めるためのベストプラクティス — Claude Codeの公式資料は、テストや期待する出力など、結果を検証できる基準を与えることを勧めている。
  4. Stack Overflow:開発者調査2025(AIエージェント) — AIエージェントが仕事に与えた影響について、生産性の向上やチーム内の連携の改善に同意した回答者の割合を示している。
  5. Stack Overflow:開発者調査2025(調査方法) — 調査の実施期間と、回答者を主にStack Overflowのサイトやメールなどで募集したこと、そのため熱心な利用者ほど回答しやすいことを説明している。
  6. AWS:ConnectiveRxのAI-DLC導入事例 — AWSとConnectiveRxの担当者による公開事例。AI開発環境KiroとAWSの支援を含む導入で、用途ごとの工数削減と、約180時間から約24時間に減った作業例を報告している。
  7. AWS:金融機関がAI-DLCを自社の業務へ組み込む方法 — 社内の規程・設計方針・セキュリティ要件を、AIエージェントが読むルールや手順へ落とし込む方法を説明している。
Vision Consulting

PoCを「技術実験」で終わらせず、経営判断まで設計する。

対象業務の選定、現状値の計測、評価設計、ガバナンス、本番移行判定を一つの意思決定プロセスとして整理します。

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